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監督賞を受賞した1994年の『親愛なる日記』(1993)以降7本連続でカンヌ国際映画祭のコンペティションで正式上映、2001年には『息子の部屋』でパルム・ドールを受賞。1981年には『監督ミケーレの黄金の夢』(1981)でヴェネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞、1986年には『ジュリオの当とまどい惑』(1985)でベルリン国際映画祭審査員特別賞を受賞し、3大映画祭を制したイタリアを代表する映画監督ナンニ・モレッティ。本作は、監督デビュー以来一貫してオリジナル作品を撮り続けてきたモレッティ初の原作の映画化。イスラエルの作家エシュコル・ネヴォの原作の舞台をテルアビブからローマに移し、3つの独立した物語を5年後10年後と時間を軸に再構成した。1973年のデビューから常に変化を続け、50年近いキャリアが生み出す卓越した演出力に息をのむ。『夫婦の危機』からモレッティ作品の常連になったマルゲリータ・ブイ(『母よ』)、リッカルド・スカマルチョ(『あしたのパスタはアルデンテ』)やアルバ・ロルヴァケル(『幸福なラザロ』)、アドリアーノ・ジャンニーニ(『スウェプト・アウェイ』)らイタリア映画界を牽引する演技派が出演。脚本は監督がフェデリカ・ポントレモーリ(『ローマ法王の休日』)とヴァリア・サンテッラ(『母よ、』『シチリアーノ裏切りの美学』)と共に執筆し、自らヴィットリオ役を演じた。音楽は『ローマ法王の休日』に続いてフランコ・ピエルサンティが担当。撮影は『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』のミケーレ・ダッタナージオ。
ローマの高級住宅街の同じアパートに住む3つの家族。顔見知り程度の隣人の扉の向こう側の顔を誰も知らない。ある夜、建物に車が衝突し女性が亡くなる。運転していたのは3階に住むヴィットリオとドーラの裁判官夫婦の息子アンドレアだった。同じ夜2階のモニカは陣痛が始まり、夫が長期出張中のためたった一人で病院に向かう。仕事場が事故で崩壊した1階のルーチョとサラの夫婦は、娘を朝まで向かいの老夫婦に預けた。後日、ルーチョはジムに行くために軽率にも認知症が疑われる隣りの夫に娘を預け、二人は一時行方不明になる。ルーチョは娘に何か起きたのではと疑念を持ち始める。同時に自責の念におし潰され極端な行動に出てしまう。5年後、出所した3階の息子は家には戻らず、ドーラは夫に自分か息子かの選択を迫られる。2階の夫は変わらず出張続きで、義兄が起こした詐欺事件が世間を騒がせる。夫は頑なに兄を遠ざけるがモニカはその理由を知らない。ルーチョは疑念のせいで妻との間に溝ができ家を離れたが、いまだに疑惑を抱えたままだ。10年後、住人たちは自らの選択の結果に苦しみながら現実と向き合っている。彼らの未来の扉を開く鍵は何なのか?
マルゲリータ・ブイ(『ローマ法王の休日』)、リッカルド・スカマルチョ(『あしたのパスタはアルデンテ』)、アルバ・ロルヴァケル(『幸福なラザロ』) ナンニ・モレッティ
監督:ナンニ・モレッティ(『息子の部屋』『ローマ法王の休日』) 脚本:ナンニ・モレッティ/フェデリカ・ポントレモーリ/ヴァリア・サンテッラ 撮影監督:ミケーレ・ダッタナージオ 原作:エシュコル・ネヴォ「三階 あの日テルアビブのアパートで起きたこと」(五月書房新社)