“怪物的映画作家"と称され、ベネチア、ベルリン、カンヌをはじめ世界の映画賞を席巻してきたフィリピンの鬼才ラヴ・ディアス。 最新作にして最高傑作『立ち去った女』で、ついに待望の日本劇場初公開を果たした。『ラ・ラ・ランド』『メッセージ』ら華やかな話題作がひしめくなか、ベネチア国際映画祭最高の栄誉に輝いた本作。前々作『昔のはじまり』でロカルノ国際映画祭金豹賞、2016年2月には『痛ましき謎への子守唄』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞し、ベネチアでついに頂点に登りつめたラヴ・ディアスに、審査員団や批評家、観客たちから満場の拍手が贈られた。
かつて小学校の教師だったホラシアは、身に覚えのない罪で投獄され、30年の歳月を刑務所で過ごしてきた。ある日、同じ受刑者でホラシアの親友・ペトラが思いがけない告白をする。ホラシアが犯人とされた殺人事件の真犯人はペトラ、そして彼女に殺人を指示し、ホラシアに罪を着せた黒幕は、ホラシアのかつての恋人・ロドリゴだというのだ。ペトラは罪を告白後、自殺した。釈放されたホラシアは家に戻るが、一家は離散し息子は行方不明、夫はすでに亡くなっていた。家族を失い、人生を壊されたホラシアは、自分を陥れた男ロドリゴを追って復讐の旅に出る。そして彼女の前に現れる、バロット(アヒルの卵)売りの貧しい男、物乞いの女、心と身体に傷を抱える謎の「女」―。
チャロ・サントス・コンシオ ジョン・ロイド・クルズ マイケル・デ・メサ
監督・脚本・編集・撮影:ラヴ・ディアス