演技のプロではない普通の小学生をオーディションで選んで主人公に起用する、前年に製作された「お引越し」に次ぐ相米映画。
朽ちた屋敷に住む老人役は円熟の名優:三國連太郎、その妻役には淡島千景を配し、寺田農、笑福亭鶴瓶、柄本明の相米作品のお馴染の個性派俳優が脇を固めている。
子どもたちの生き生きとした演技とベテラン俳優による円熟演技のアンサンブル、本作でも相米マジックが遺憾なく発揮されている。
神戸に住む小学6年生のサッカー仲間、木山諄、河辺、山下の3人は、人が死んだらどうなるかに興味を抱き、きっともうじき死にそうな近所に住む変わり者の老人・傳法喜八(三國連太郎)を観察することにした。朽ちた屋敷に忍び込み老人の日々を観察する。初めは子どもたちを邪険に追い払う喜八だったが、次第に優しく接するようになり、彼らとの交流が始まり、やがては子どもたちも庭の手入れを手伝うようになる。喜八は徐々に子ども達に自分の過去を語りだす。分かれた妻、戦争の残酷な体験……喪われ逝くものと、決して失われないものに触れた少年たちのひと夏の物語。
三國連太郎 坂田直樹(新人) 王泰貴(新人) 牧野憲一(新人)
戸田菜穂 淡島千景 笑福亭鶴瓶 寺田農 柄本明
製作:伊地智啓/安田匡裕 プロデューサー:加藤悦弘/藤門浩之 監督:相米慎二
脚本:田中陽造 撮影:篠田昇 音楽:セルジオ・アサド
原作:湯本香樹実「夏の庭 The Friends」(新潮文庫刊)