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ホウ・シャオシェンは言った。「台北の現在の姿を描けたのは、『台北ストーリー』のエドワード・ヤン以来だ」と。
ホウ・シャオシェンの現場で映画を学んできた女性監督、ホアン・シーのデビュー作品。
その映画遺伝子は、今回製作総指揮を務めたホウ・シャオシェン譲り。その一方で、「カップルズ」のクー・ユールンが主演のひとりを務めるなど、エドワード・ヤンとの繋がりも見える。我々はそこにホウ・シャオシェンの映像を見るが、ホウは「その資質は自分ではなく、ヤンに近い」と発言している。
ホウ・シャオシェン×エドワード・ヤン。
1980年代からの台湾映画を支えたふたりの遺伝子を継いだ、<台湾NEXT BLOOD>が生まれ出た。 引き付けられる、目が離せないカットの数々。台北の街、路地、鉄道、道路、そこに降る雨、そこにある水たまり、その美しさ。そこに生きる人、家族、その強さ。
もろくも孤独な魂たちが、美しく、強く結ばれるとき。
本DVDの 最大の注目は何と言っても特典映像だ。本編には無い貴重な未公開映像が4種も収録されている。シュー、フォン、リーの3人が絡む、まったくのアザー・シーン、リーと母親、その友人たちの意外なコミカルな会話、機械をいじるリーの手のアップシーン。そして、フォンとシューがお互いの身の上を吐露する、セブンイレブン前のシーン。この映画を見た多くの人々が印象的なシーンとつぶやき、「距離が近すぎると、愛し方を忘れる」というフォンのセリフを取り上げながら、自身の共感の想いを熱く綴る、あのシーンだ。しかし、あのシーンの続きがあったのだ。フォンとシューの間に流れる空気が少しずつ変化し、やがて溶け合っていく様子がより濃密に映し出されていく。フォンの「距離~」から派生した新しい?!セリフも併せてぜひ、その目で確認いただきたい。孤独な男、フォンを演じた、クー・ユールンの演技は見事という他ないだろう。
※本ディスクの収録コンテンツは、2019年10月21日に発売されたオンデマンド(DVD-R)と同内容となります。
車で生活する中年の男。人と混じり合えない少年。「ジョニーはそこにいますか?」という間違い電話を何度も受ける独り暮らしの女。そんな3人が孤独の中、出逢い、また、新しい未来が見えてきたとき、彼女の思いがけない過去が明らかになっていく ──。台北の<暮色>。物語のクライマックス、そこに、何を見るのか ──。
リマ・ジタン クー・ユールン ホアン・ユエン
監督・脚本:ホアン・シー/製作総指揮:ホウ・シャオシェン