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監督は長編デビュー作『私の 20 世紀』(89)がカンヌでカメラドール<最優秀 新人賞>を受賞した、ハンガリーの鬼才イルディコー・エニェディ。本作では人間の孤独に寄り添いながらも、自分の殻から一歩踏み出す勇気を与えてくれる優しい物語を紡ぐ。18 年ぶりに発表した長編映画である本作は見事ベルリンを制し、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるなど、賞レースで快進撃を続け、本国ハンガリーでは大ヒットを記録。1年を超えるロングラン上映を果たした!
透き通るような美しさを持つヒロイン、マーリアを演じるのは、主に舞台で活 躍する新星アレクサンドラ・ボルベーイ。
本作の熱演で、イザベル・ユペール やジュリエット・ビノシュを抑え、ヨーロッパ映画賞最優秀女優賞を獲得する快挙を果たした。彼女が恋する上司、エンドレ役は俳優ではなく、ハンガリー の劇場で 11年に渡りドラマトゥルクとして活躍した後、著名な出版社で20 年 間、編集発行人を務めていたゲーザ・モルチャーニ。
監督からその存在感とカ リスマ性を買われ、初めての演技に挑み、現実味のある男性像を作り上げた。
ハンガリー、ブダペスト郊外の食肉処理場。代理職員として働くマーリアは、コミュニケーションが苦手で職場になじめない。片手が不自由な上司のエンドレは彼女を気に掛けるが、うまく噛み合わず…。そんなある日、牛用の交尾薬が盗まれる事件が発生する。犯人を割り出すため、全従業員が精神分析医のカウンセリングを受ける事態に。すると、マーリアとエンドレが同じ夢を共有していたことが明らかになる。二人は夢の中で“鹿”として出会い、交流していたのだ。奇妙な一致に驚くマーリアとエンドレは、夢の話をきっかけに急接近する。マーリアは戸惑いながらもエンドレに強く惹かれるが、彼からのアプローチにうまく応えられず二人はすれ違ってしまう。夢の中ではありのままでい られるのに、現実世界の恋は一筋縄には進まない。恋からはほど遠い孤独な男女の少し不思議で刺激的なラブストーリー。
アレクサンドラ・ボルベーイ/ゲーザ・モルチャーニ/レーカ・テンキ/エルヴィン・ナジ/ゾルターン・シュナイダー/イタラ・ベーケーシュ/タマ ーシュ・ヨルダーン
監督・脚本:イルディコー・エニェディ/製作:モニカ・メーチ、アンドラーシュ・ムヒ、エルヌー・メシュテルハーズィ/撮影監督:マーテー・ヘルバイ/編集:カーロイ・サライ/作曲:アーダーム・バラージュ/音響:ペーテル・ルカーチ/美術:イモラ・ラーング/衣装デザイン:ユディット・シンコヴィチ