©ビーワイルド/テレビ朝日/TOKYO FM
相米慎二監督13作目の長編監督作にして遺作となった大人のラブストーリーが、HDリマスター版DVDで再登場する。演じる者の息遣いをもフィルムに閉じ込めたようなその演出は、観る者に最後まで目を離させない。ロケ地北海道の風景を幻想的なまでに美しく切り取り、作品に一層の輝きを与えている。夢のごとく現れては消えゆく「風花」は相米監督の手によって結晶と化し、心の奥底に深く静かに溶け込んでいく。生と死を最果てまで見つめながら、その先に輝く「光」を求める人々を癒し包み込む希望と再生の物語。原作は乱歩賞作家・鳴海章の同名小説『風花』(講談社刊)。小泉今日子は都会に暮らす複雑な心境を持つ主人公・ゆり子を「数えきれないほどの感情を持っている女」として演じきっている。マーベル作品を始め今やハリウッド俳優となった浅野忠信は「自分でも見た事のない表情が写っている」と語る作品。他の出演は麻生久美子、柄本明、椎名桔平などの豪華なキャストに加え、ゆり子の亡夫役に鶴見辰吾、母親役に香山美子、義父役の高橋長英などが脇を固める。
故郷・北海道に残した一人娘に五年ぶりに会いに行く風俗嬢ゆり子。泥酔しコンビニで万引きした事から、自宅謹慎を命じられている高級官僚の廉司。廉司は酔った勢いから百合子の北海道への旅につきあうことになり、性格も生活も旅の目的も全く異なる二人のぎくしゃくとしたドライブが始まった…。だが実家に着いたゆり子は義父の「東京で何してるか知らない訳じゃない。香織の為にも、合わせるわけにはいかない…」という言葉に返す術もなく実家を後にする。廉司はこの遠く離れた地で、上司からの一方的な解雇通告を聞くことになる。「もう自分には帰る場所などない。」行き場を無くした「帰れない二人」を乗せた車は、まだ雪の残る山奥へと向かっていく。
小泉今日子 浅野忠信 麻生久美子 尾美としのり 小日向文世 鶴見辰吾(友情出演) 椎名桔平(友情出演) 笑福亭鶴瓶(声の出演) 木之元亮 寺田農 綾田俊樹 酒井敏也 野間洋子 山本真亜子 高橋長英 柄本明 香山美子
原作:鳴海章「風花」講談社刊/脚本:森らいみ/監督:相米慎二/ 製作:若杉正明、早河洋/製作捕:田辺順子/プロデューサー:椎井友紀子/製作委員会:上松道夫、小松崎正樹、志摩敏樹、習田豊、井上武志、岡井龍平/企画:木村純一、古川一博/企画プロデュース:高橋由佳/撮影:町田博/美術:小川富美夫/音楽:大友良英/音楽プロデューサー:佐々木次彦/製作:ビーワイルド、テレビ朝日、TOKYO FM