©©Kento Shimizu
【漂流ポスト】とは
「手紙を書くことで心に閉じ込められた悲しみが少しでも和らぎ、新たな一歩を踏み出す助けになるなら」という想いから、被災地である岩手県陸前高田市の山奥に建てられた郵便ポスト。当初は東日本大震災で亡くなった人への想いを受け止める為のポストだったが、今では病気や事故など、震災に限らず亡くなってしまった最愛の人に向けた想いを手紙に綴り、届ける場所になっている。震災から10年以上経った現在も多くの手紙が届き、その数は900通にのぼる。手紙は同じ境遇の人々にシェアされ、心の復興を助けている。
2011年3月12日に仕事で岩手を訪れる予定だった清水健斗監督は、自分が1週間前に訪れた場所が津波に流されてしまう様子をニュースで見て、他人事とは思えず、長期ボランティアに参加。そこで直に見聞きした被災者の想いを風化させないために、ニュースで知った“漂流ポスト”を舞台に、心の復興の映画を製作した。本作の趣旨に賛同した漂流ポストの管理人・赤川勇治の全面協力により、実際に漂流ポストのあるガーデンカフェ森の小舎での撮影を敢行。東日本大震災で親友の恭子を亡くした主人公・園美役の雪中梨世が実際に漂流ポストに届いた手紙を初めて読んでいるところを撮影したドキュメンタリー映像を本編で使うなど、リアリティを大切に制作された。その他、園美の中学時代の親友・恭子役で神岡実希、園美の中学時代役で中尾百合音、大人になった園美に漂流ポストの存在を教える彼氏・和也役で藤公太、漂流ポストの管理人・赤川役で永倉大輔が出演している。
東日本大震災で親友の恭子を亡くした園美は、心のどこかで死を受け入れられず日々を過ごしていた。ある日、学生時代に恭子と埋めたタイムカプセルが見つかる。中には『将来のお互い』に宛てた手紙が入っていた…。蘇る美しい思い出と罪悪感。過去と向き合う中、震災で亡くなった大切な人へ届けたい言葉・伝えることができなかった想いを綴った手紙が届く【漂流ポスト】の存在を知った園美は、心の復興を遂げることができるのか・・・
雪中梨世 神岡実希 中尾百合音 藤公太 永倉大輔
監督・脚本・編集・プロデュース:清水健斗/撮影監督:辻健司/録音:田原勲/メイク:大上あづさ/制服:下山さつき/音楽:伊藤明日香/撮影協力:赤川勇治 漂流ポスト3.11