フィルモグラフィー/受賞歴
2011年 『Barzakh』
ベルリン国際映画祭:アムネスティ国際映画賞、エキュメニカル審査員賞
リトアニア映画賞:ドキュメンタリー賞
ヴィリニュス(リトアニア)国際映画祭:リトアニア人デビュー作品賞
ベオグラード(セルビア) ドキュメンタリー、短篇映画祭:グランプリ
リュブリャナ(スロベニア)国際映画祭:アムネスティ国際映画賞・作品賞
タリン(エストニア) ブラックナイツ映画祭:大賞、国際批評家連盟賞
2016年 『Mariupolis』
リトアニア映画賞:ドキュメンタリー賞、美術賞
リュブリャナ(スロベニア)国際映画祭:監督賞
2019年 『Partenonas』(劇映画)
2022年 『マリウポリ 7日間の記録』Mariupolis 2
カンヌ国際映画祭 ドキュメンタリー審査員特別賞
ヨーロッパ映画賞 ドキュメンタリー賞
2022年 『Prologos』
※ドキュメンタリー。生前に完成させた作品と思われる。
監督は、あえて遺体などは撮影していない。
しかし、住民の会話、そして何よりずっと鳴り続ける爆撃音が
この映画に映っていない多くの死傷者の姿を想像させる。
しかし、この普通の人々の戦時下での日常をそのまま記録した本作品からは、
ウクライナ国民の愛国心と強い結束力、
また辛い中でもちょっとした幸せを見つけるような強さがひしひしと伝わってくる。
住民の会話の中でインパクトが強かったのは、
ソ連時代は良かった、ウクライナの指導者が良くなるにつれ、
状況が厳しくなるというような内容の話であった。
実は、このような言説は旧ソ連や旧ユーゴスラヴィアなど、あちこちで聞く。
かつて連邦が構成されていた時には、安定した生活があり、民族間の争いはなかったが、連邦解体、
そして民主化は混乱を導くというような考え方だ。
このようなソ連ノスタルジーは、ロシアはもとより、
ウクライナ以外の多くの国で聞かれる。
しかし、このような言説は、プーチン大統領がいみじくも言った
「ソ連解体は20世紀最大の悲劇」という主張に正当性を与えてしまう。
今回、この戦争を見る欧米諸国はロシアに制裁をし、
ウクライナを軍事的、財政的に支援することしかできていないが、
連邦解体後の世界が民主化し、安全が守られ、
幸せになる保障を世界は考えてゆくべきなのではないかと強く感じた。