出張先のアメリカ北西部・モンタナ州の牧場でカウボーイ文化に触れて人生を見つめ直す主人公ヒデキを演じるのは、今や日本映画界に欠かせない俳優・井浦新。話題作への出演が相次ぎ、ついにアメリカ映画デビューを果たした。
監督のマーク・マリオットはかつて日本の巨匠、山田洋次監督の弟子入りを志願し、山田組の海外現場(第41作『男はつらいよ 寅次郎心の旅路』)に参加した経歴の持ち主。その時の異国体験が作家としての原点となった。その後、モンタナの牧場で研修する日本人会社員について書かれた記事からもヒントを得て本作を企画。日本のオフィス街とは何もかもが異なるモンタナの原始的な風景を舞台に、“異邦人”が経験するさまざまな感情を普遍的なヒューマンドラマに仕立て上げた。
日米2カ国の文化と言語の微妙なニュアンスを表現できる多彩なスタッフとキャストが集結!脚本は、Netflixシリーズ「忍びの家 House of Ninjas」で脚本&監督を務めたことも話題のデイヴ・ボイルと、平成『ガメラ』シリーズ3部作のヒロインやミシェル・ゴンドリー監督『TOKYO!/インテリア・デザイン』主演などを経て、現在はアメリカを拠点に脚本家としても活躍する藤谷文子が共作。藤谷は主人公の上司であり恋人でもある役柄でキャストにも名を連ねる。さらに日本を代表する国際派俳優・國村隼が和牛の専門家役としてコミカルな存在感を放つほか、プロデューサーは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ、『トロン: レガシー』などハリウッド大作を多数手掛けてきたブリガム・テイラーが務めた。
サカイヒデキは東京の大手食品商社に勤めるサラリーマン。さまざまな食のブランドのM&Aを進めることが主な仕事で、プライベートでは上司である副社長のケイコと婚約している。会社が米国モンタナ州に所有する経営不振の牧場を収益化するため、希少価値の高い和牛に切り替えることを提案。和牛畜産業の専門家であるワダを連れてモンタナに向かう。空と大地がどこまでも続くモンタナでは東京の常識は通じず、ヒデキはすぐにトラブルに見舞われる。ワダが怪我で入院し、一人になったヒデキは場違いなスーツ姿で牧場主のペグに和牛の事業計画をプレゼンするが、邪険に扱われるばかり。そんな中、ヒデキはハビエルが副業として牧場の片隅で密かにキヌアを栽培していることを知る。 おおらかで地に足のついた生活を楽しむハビエルと交流するうち、土地の魅力に気づき始めたヒデキは、スーツからカウボーイの格好に着替え、牧場の仕事を積極的に手伝うように。大規模な牛追いにも参加し、牧場の労働者たちと打ち解けていく中で、自身の効率一辺倒の働き方を見つめ直していく。やがてヒデキは、牧場再建の新たなプランを考えはじめるのが……。
井浦新、ゴヤ・ロブレス、藤谷文子、ロビン・ワイガート、國村隼
監督:マーク・マリオット 脚本:デイヴ・ボイル、藤谷文子 プロデューサー:ブリガム・テイラー 撮影:オスカー・イグナシオ・ヒメネス 編集:井上ヤス 原案:マーク・マリオット、ブリガム・テイラー