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話題作が目白押しだった2021年のカンヌ国際映画祭で、名だたる批評家を驚かせ、芸術的貢献を認められるフランス映画高等技術委員会賞を受賞した本作。監督は、ロシア演劇界の鬼才で映画監督としても世界が注目するキリル・セレブレンニコフ。2017年に国から演劇予算を横領したと疑いをかけられ自宅軟禁状態に。そんな不条理な状況下で本作の脚本を書いたという。原作は、ロシアでセンセーションを巻き起こしたA・サリニコフによるベストセラー小説。物語を構成するのは、2004年を現在地点とするロシアの出来事、1976年のソ連の記憶、そこに挿入される90年代のエピソード。それらが絶妙に接続され、あっ気に取られているうちに、狂気や悲しみ、郷愁といった 様々な感情を刺激していく構成は秀逸。ペトロフの発熱を観客にまで伝染させる上気さえ感じさせる映像の密度、そして妄想と現実のシームレスな接続は観る者を驚愕させる。特にセリョージャの自殺に至る18分間の長回しは、一つのショットの中で幾つもの場所を移動し、時間をも超えていく。いったいどんな仕掛けで撮影したのか、思わずため息が出る圧巻のシークエンス!
2004年のロシア、エカテリンブルク。インフルエンザが流行している。ペトロフは高熱にうなされ、妄想と現実の間を行ったり来たり。やがてその妄想は、まだ国がソヴィエトだった子供時代の記憶へと回帰し…。
セミョーン・セルジン、チュルパン・ハマートワ、ユリヤ・ペレシリド
監督・脚本:キリル・セレブレンニコフ 原作:アレクセイ・サリニコフ著 「インフル病みのペトロフ家とその周囲」(邦訳未出) 撮影監督:ウラジスラフ・オペリヤンツ R.G.C 美術監督:ウラド・オガイ 衣装:タチヤーナ・ドルマトフスカヤ